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「好き」を仕事選びの入り口に 『13歳のハローワーク』は、作家の村上龍氏による仕事の百科全書だ。音楽が好きなら声楽家や音響エンジニア、なにかを収集するのが好きなら学芸員や司書……といった具合に、いろいろな「好き」を入り口に514種の職業を紹介している。 株式会社トップアスリートの代田昭久氏は、書店に平積みされた『13歳のハローワーク』を手に取り、大きな衝撃を受けたという。リクルートで企業と学生のマッチングビジネスに携わっていた当時から、“大学生になって職業を考えても遅いのではないか?”という問題意識を抱いていたからだ。 「13歳の子どもたちに、“好奇心”という切り口から仕事の世界を見せている。現在と未来につながりがあることを伝えている。これはすごい本が出ちゃったな! と思いました」 代田氏は、同書のメッセージに共感するとともに、多メディア展開の可能性を直感。版元である幻冬舎へのアプローチを開始した。競合が多く、交渉の道のりは決して平坦ではなかったが、文章およびイラストを使用する契約を締結。2005年10月に『13歳のハローワーク 公式サイト』を開設し、編集長に就任した。 “働く大人”と“知りたい子ども”にコミュニケーションの場を 公式サイトでは、『13歳のハローワーク』に収められている514の職業解説を原文のまま、すべて読むことができる。同じページ内に関連する職業の一覧が表示されており、クリックひとつで興味のあるページにどんどん飛んでいけるのも、ネットならではの大きな魅力。すでに書籍を持っている人でも、また違った角度から楽しめる設計だ。また、編集部による独自のコンテンツも充実している。『もっと教えて! この職業』では、その職業の歴史や人口、平均年収を紹介。『中高校生に送る業界特集』では、業界の概況や新しいトピックスを解説。事実やデータに基づき、“仕事のリアル”を発信している。 2006年3月には、新コンテンツ『もっと教えて! みんなの仕事』をオープン。社会人が自分の職業やプロフィールを登録・公開する【みんなでつくる仕事白書】と、社会人が子どもたちの質問に答える【もっと教えて! フォーラム】の2本柱で構成される。仕事白書に登録している社会人は2889人、質問と回答を合わせた件数は5401件にのぼる(2007年2月14日現在)。 「地域のコミュニケーションが希薄になっている現代では、仕事に関する情報を身近な人から得ることが難しくなっています。学校の『総合的な学習の時間』だけでそれをカバーするのも難しい。このフォーラムを通じて、大人と子どもが失われた関係を築くことができたら」(代田氏) サイトのページビュー(訪問者が閲覧したページの数)は、2007年1月は200万、2月は300万と順調に増加している。おもな収益源は、「仕事」と親和性の高い専門学校や求人サイトなどの広告掲載料だが、コンテンツの拡充や全体の操作性を向上させることで、ページビュー・広告収入ともに伸ばしたい考え。当面の目標は600万ページビュー/月だ。 バーチャルを入り口に、リアルな出会いを 公式サイトでは、杉並区立和田中学校の藤原和博校長とともに、514種の職業がひとめで分かる『13歳のハローワークマップ』を企画、サイト限定で販売している(1枚/1300円)。マップの監修を行なった村上龍氏は、次のように述べている。「仕事や職業は箇条書きにずっと並んでいるものじゃなくて、縦にも横にも関連づいています。そういった意味でも、これは非常にわかりやすいと思いますよ。本ではできなかったと思います」 公式サイトのオープンから始まった『13歳のハローワーク』の多メディア展開だが、次なるステップとして、“映像化”の構想がある。また、特定の仕事についている人と、その職に就きたい人を引き合わせる、リアルなマッチングの機会を作るイベントも進行中だ。 これからの新しい試みに“ドキドキ”しているという代田氏は、最後にこう語った。 「ちょっと大げさかもしれないんですが、この国の仕事選びを変えたい、と思っているんです。“子どものときにあのサイトに出合ったから、いまの僕がいるんだよなぁ”って思ってもらえたらいいですね」
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