ビジネスワイド1
日本初のビジネスモデルで取り組む
小水力発電事業
神奈川県川崎市は、日本自然エネルギー株式会社と共同で、送水管に小水力発電設備を設置。送水だけに使われていた水道の未利用エネルギーを電力として取り出す試みは、各所から注目を集めている。



年間約220万キロワットの小水力発電

神奈川県川崎市の小水力発電は2カ所で実施されている。落差36メートルの潮見台浄水場から末吉配水所をつなぐ直径1.5メートルの送水管に170キロワット、同じく落差18メートルの長沢浄水場から鷺沼配水池を結ぶ送水管に160キロワットの発電機が送水管と並行に設置され、水道水の一部を通すことによって、マイクロチューブラ水車を回し電力を発電しているというわけだ。

これにより年間約220万キロワットの水力発電が行なわれこととなり、その量は一般家庭に換算すると川崎市全世帯の0.1%にあたる約630世帯の電気をまかなうことができる。さらには約800トンの二酸化炭素と約200キログラムの窒素酸化物が削減が可能だという。

こうした動きの背景には、2003年4月の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」の施行がある。RPS法は、エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するため、電気事業者に対して、毎年、その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー(風力、太陽光、小水力など)から発電される電気の利用を義務づけ、新エネルギーのさらなる普及を図ろうとするもの。

電気事業者は、義務を履行するため、自ら「新エネルギー電気」を発電する、もしくは、他から「新エネルギー電気」を購入する、または、「新エネルギー電気相当量」を取得することが必要となってくる。

日本自然エネルギーは、東京電力の関連会社としてRPS法にかかわるビジネススキームを保有しており、環境への貢献活動に積極的に取り組んでいた川崎市水道局との協同事業に踏み切ったというわけだ。

ビジネスモデル特許を申請中

この共同事業について、川崎市水道局経営企画担当、渡辺尚夫氏は「市として水力発電の設置場所などを、日本自然エネルギーからは水力発電のノウハウ、資金調達、メンテナンスなどを持ち寄り、対等の立場で事業に取り組みました。その分私どもにとってはリスクヘッジになったと思います」と語る。

発電した電力は、東京電力に売電(価格は未公表。参考;関西電力8円/1キロワット)し、その収益を日本自然エネルギー社が受け取り、発電機のメンテナンス費用などを出してから、川崎市と配分する(年間50万円以下程度)。こうした民間企業との協同事業方式は小水力発電では日本初の試みであり、現在ビジネスモデルの特許申請中だ。

本年4月の稼動以来、その手法とビジネスモデルが注目をあび、各地自治体を中心にした視察が殺到しているという。今後京都議定書が発効し、二酸化炭素の排出権が取り引きされるようになると、自然エネルギーの電力価格は急騰すると考えられている。

その意味で多少の落差さえあれば発電が可能な小水力発電も上下水道、農業・工業用水、大きな商業ビルなどで導入が進むと予想されている。が、そのためにも、「今後はたとえば1000キロワット以下の小水力発電については、水道法、河川法、電気事業法などの適用外となるような規制緩和が必要」(渡辺氏)となってくることは間違いない。
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床下にある直径1.5メートルの送水管に取り付けられた緑色の管の中で水車が回り、上部にある発電機で電力が生まれる
小水力発電で生まれた電力は、高圧連系で東京電力の電線に直接接続され売電される