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古書店の現状からスキ間を発掘 発端はイメージだった。こんな書店を日本で開いてみたい――欧米に出かけるたびに現地の書店を廻っていたドリームの樋口道也社長。「ヨーロッパの書店は看板のロゴをサラッと抑え、外観全体で店を表現していますが、日本の書店は原色主体の看板がめだちます」。そう指摘する樋口社長は数年前から、センスのよい造作の書店を構想しはじめた。ドリームは郊外型古書店「ほんだらけ」を28店(直営28店、分社店舗4店)展開している。この数年は不採算店の閉鎖などで業績は横ばいで推移してきた。業績アップの柱として、この9月、樋口社長は構想を具体化させ、第2のブランド「BOOK BANK CLUB」を東京・西池袋にオープンした。 同店の看板は、ダークブルーの上に店名を白抜きで表示。30坪の店内は間接照明で照度が落とされて、ジャズが流れ、アロマの香りが漂い、カジュアルダイニングやバーのような雰囲気が演出されている。店舗スタッフは、白のシャツの上に白で縁取りされた黒のベストを着用。「スタッフには“本のソムリエ”という役割を担ってもらうので、ソムリエのようなユニフォームにしたのです」(樋口社長) 品揃えにも特徴がある。コミック、DVD、CDをいっさい置かず、読み物をメインに品揃えしている。ストックは約3万冊。想定する顧客層は30代以上の男性。たしかに従来の古書店には見かけないタイプの店舗である。樋口社長はどこにビジネスチャンスを見出しているのだろうか。 樋口社長は次の2点からスキ間を発掘したのだという。
客層に関しては狙いが当たった。若年層の顧客はほとんど来店せず、30代以上でもTシャツに短パン着用というような客は来店していない。「アッパークラスと思えるお客様がメイン」と樋口社長は語る。 同社は「BOOK BANK CLUB」をフランチャイズチェーン(FC)によって、来期(07年10月期〜08年9月期)末までに計50店舗(うち直営5店舗)を出店する計画を立てている。出店ペースを速めるのは早期にブランドを確立することが狙いだ。 「当店をマネする店が出てくると思うので、短期間のうちに関東地区で名前を認知させたい。そうすれば全国に名前が知れわたるでしょう」(樋口社長) エキスパートシステムで買取業務を標準化 同店の特徴はオシャレな要素だけではない。主要な特徴を列記する。(1)品揃え
(2)在庫管理 本部とチェーン各店の在庫情報をシステム管理しているので、チェーン全体の在庫を自店の在庫として活用できる。 (3)買取業務
(4)人員 夫婦2名体制が基本であり、アルバイトの雇用をしなくてもすむ業務量なので、採用や教育、管理などの手間とストレスが発生しない。 モデル収支はどう設定されているのだろうか。店舗面積が20坪の場合、物件を所有していれば初期投資は1500万円(加盟金300万円)、年商1800万円で営業利益1020万円、初期投資の回収は1.5年。 一方、賃貸物件の場合、初期投資と年商は物件所有と同額だが、家賃480万円が発生するため営業利益は540万円、初期投資の回収は2.8年となる。なお、夫婦2名体制を前提に計算されているので、人件費はゼロと設定されている。 店舗の立地条件は駅前の商店街。顧客が帰宅途中に立寄れるように、駅から住宅地に向かう導線が理想である。店舗面積は10〜40坪。しかし同社で調査したところ、候補となる物件がなかなかピックアップできない。そこで駅前の新刊書店と古書店に対して、業態転換のパッケージとして「BOOK BANK CLUB」への加盟を営業していく方針だ。 団塊世代のセカンドキャリアとして加盟を募る また団塊世代に対して、メディアを通して定年退職後のビジネスとしてフランチャイズ加盟を促していく。モデル収支をみる限り、格別儲かるビジネスとは言いがたい。樋口社長は「ドーンと儲かるビジネスではありませんが、夫婦で年に1〜2回海外旅行ができるぐらいの収入にはなると思います」と見通す。読書好きのビジネスマンが定年退職後にノンビリと古書店経営をしているシーンがイメージできる。だが、古書店経営の現実を知らなければ夢想にすぎない。樋口社長によると「ほんだらけ」の業績好調店と不調店の差異は3点に集約できるという。 第1に、適正価格で仕入れて適正価格で販売する価格設定能力。第2に、接客能力。たとえば顧客が車で書籍を売りに来店したら、車に駆け寄って書籍を受け取るという即座の反応力。第3に、店内の整理整頓。店長がこの3つをクリヤしている店はコンスタントに売り上げがあがっているという。 「BOOK BANK CLUB」の場合、価格設定は標準化されているので問われない。樋口社長が加盟店オーナーに求めるのは気遣いである。 「アロマが切れていたらすぐに補充するとか、本が曲がっていたら直すとか、ちょっとした花を飾って店内を彩るとか。細かい点に気づくかどうかが大切です。やるべきことを理解していても気づかなければ行動できません」 ドリームは、数年後には「BOOK BANK CLUB」の店舗数が「ほんだらけ」を上回るように出店を進めていく。その一方で「ほんだらけ」を「BOOK BANK CLUB」の仕入機能として強化する考えだ。
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